アンコンシャスバイアスの悪影響に陥っていた私の経験
こんにちは
株式会社リソースフル 中田明子です。
私が以前の職場でリーダーをしていた頃のことです。
経理・企画・現場・渉外など沢山の業務を抱えていましたが、当時の私は保育園の迎えがあるので定時退社必須でした。
仕事を家に持ち帰ることもあれど、事務所でしかできない業務も多く、出社している時間はとにか効率重視で動いていました。
そんな時、いつも私をイライラさせていたのは、先の見えないダラダラした部下の報告でした。
「結論から報告するのが常識でしょ!」
私はそういう「自分が正しい」という「思い込み」から
「あのさ、まず結論から報告してくれる?」
と冷たく言い放ってしまうこともしばしばでした。
また、当時は職場の大半のメンバーが契約社員という立場の方でした。
今思うと、メンバー全員が本当に一生懸命に現場の最前線でアイディアを絞っていたと思うのですが、数少ない正社員の立場だった私は、そこに「上下関係」を感じており、一緒に職場の目的を達成する「横の関係」にいる仲間であるという感覚を持っていませんでした。
「契約社員は責任も能力も限られているだろうから、正社員が重要な方針を決め契約社員は従っていればいい」
そんな風に思っていたんです。
だからこそ、表面的には良好でも本心で接してくれる人、本当に協力してくれる人はほんの一握りで、結果として自身の仕事を抱え込むことにもなり、自分のパフォーマンスも職場のパフォーマンスも最大に発揮できたとは言い難い状態でした。
今の私が過去を振り返ると、本当にアンコンシャスバイアスの悪影響に陥っていたと感じます。
ただ、当時の私に
- 部下の報告の聴き方は?
- 部下に自分の要望の伝え方は?
- 正社員と契約社員の協力関係はどうあるべき?
と質問すれば模範回答をしていたと思います。
そう、正しい答えをわかってはいるんです。
部下の話を尊重すること、一旦受け止めてからリクエストすること、契約形態や職種に関係なくいい意見は採用すべき・・。
でも、実際の行動とは違ってしまう。言い換えると「わかってはいるけどできない」のです。
「わかっているけどできない」を変えるには
年数が経って、今の仕事をするようになって初めて、私は当時の自分を振り返ることが出来ています。アンコンシャスバイアスの対応で最も難しいところがここにあります。自分がそういう状態であることに当の本人は気づいていないということなのです。
いつの間にか職場の雰囲気が悪くなったり、チームワークが悪くなったりすること。職種によって活躍の機会が制限されたり、特定の性別や年齢の人にチャンスが与えられなかったりすること。でもその原因を作っている人は、「無意識」で行なっており、気づいていないから繰り返す・・・。職場のアンコンシャスバイアスを放し飼いにしていることに一つもいいことはありません
ですから、最も重要、かつ最初に取り組むべきことは「自覚」させることなのです。
自身の課題に「気づく」ことで解決のスタート地点に立つことができます。
- 自分が「常識」だと思っていることは「常識」ではないこと
- 自分が「事実」だと思っていることは「事実」ではないこと
- 自分が頭でわかっていることと、実際の行動が実は一致していないこと
このことに自ら気づくことが最重要事項です。
パソコンのOSが変わるとアウトプットが変わるように、その人のOS(意識)を書き換えることで言動は変化していきます。
「そんなの常識だろう!」と言っていたのが「これは一つの見方になるけど」に変わる。
「どうせ無理だろう」と言っていたのが、「試しにやってみようか」になる。
ただ、この変化は、いきなり正しい「やり方」や「話し方」を教えることでは起きないのです
OS(意識)を変えるステップとは
組織において特にこのことを考えていただきたいのは経営者・管理職の方です。
こうした経営幹部の持つアンコンシャスバイアスは、会社の目標達成や課題解決に直結するからです。つまり、本人も気づかないうちに組織のボトルネックになっていることがあるのです。
- 自分が常識だと思っていることは本当に常識なのか?
- 自分が事実だと思っていることは本当に事実なのか?
- 自分の頭での理解と実際の行動は一致しているのか?
よほどショッキングな出来事があれば別ですが、1人でこれに気づくことは大変難しいのはお分かりの通りです。
つまり、第三者の客観的な視点として、コーチングや研修で職場の雰囲気・チームワークの改善、特定の性別や年齢の人への機会提供を行うことで、それらのボトルネックを取り除いていきます。
特に私が力を入れたい「女性の働きやすい環境づくり」には、今の日本ではまだまだ、
- 男性管理職に対するアンコンシャスバイアスを知る働きかけ
- 女性社員自身への自信回復の働きかけ
が必要だと感じます。
その人のOS(意識)へアプローチすることで、その場限りではなく再現性、持続性がある解決をしていくこと。
そして、その人の本来持つ強みや魅力を最大限に発揮してパフォーマンスが高い状態でいられる様にすること。
そんな、誰もがリソースフルで、働きやすい職場づくりを実現していくためにもアンコンシャスバイアスへの対応は全ての企業・個人に必要なリテラシーではないでしょうか。