【コラム】1on1導入の前にリーダーに必要な「聞く力」を
こんにちは
株式会社リソースフル 中田明子です。
1on1を職場に導入している社長さまへお伺いします。
「1on1のやり方」(※決して手順ではない)を
管理職の方へトレーニングされた上で導入されていらっしゃいますか?
本当に、
心から思うのですが、
「下手な」1on1ならやらない方がマシだと・・・。
「1on1」を無意味だと感じる
「1on1」で上司に傷つけられた
「1on1」でやる気がなくなった
部下の立場の方から
そんな話をよくよく伺います。
プロコーチの目から見ると
「当たり前」と思うことが
まだまだ現場では実践されていないのを感じます。
例えは相手の話の「聞き方」です。
私のコーチング師匠の1人でもあり
大好きなお兄様としても慕わせて頂いている國武大紀さんが
リーダーのための新刊を出されました。
『聞く力こそがリーダーの武器である』
(フォレスト出版、2020年6月)
「聞く力」の大切さが解説されています。
國武さんには、
私が一番苦しかった時期にメンターとして導いていただき
コーチングや組織心理学、様々なことを教えていただきました。
1年ほどの学びの中でも強く感じ取ったのが
「相手の幸せを願う」
ことが一番大切だということ。
そして、
相手(部下)のことを大切にできない管理職の方は
自分が大切にされていない(少なくともそう感じている)からなのです。
それを忘れて「正しさ」で押し通そうとするトップの何と多いことか。
これまで研修やコーチングで管理職の方と接するときは
まず、管理職の方々の自己肯定感を上げる演習から入っています。
その演習をするにつけ、
「大切にされていない」(と感じている)
管理職の方々が本当に多いことに驚きます。
コーチングコミュニケーションは
ロジカルシンキングでもプレゼンスキルでもありません。
月並みですが、人は理屈ではなく「感動」、感じて動くのです。
そして、相手を「感動」させられるのは、
理念の素晴らしさでも正しさでもなく
相手の、部下の、お客様の幸せを本当に願っている気持ちが伝わるからこそ。
「相手の幸せを願う」
今、自分自身が人として本質的なことを大切に仕事ができていることは
本当にありがたく、深い安らぎをさえ感じます。
國武さんから学べたことはコーチとしても、人間としても、大きな財産となっています。
是非職場のリーダーの皆様もこの本を手に取られてみてください。
お悩み「管理職の女性を増やしたくても適切な人材が育っていない」
こんにちは
株式会社リソースフル 中田明子です。
このお悩みは、育成者(多くは男性管理職)のアンコンシャスバイアスが大きく影響をしています。
例えば、新卒で男性のAさん、女性のBさんが営業部に配属されたとします。
どちらもまずは先輩社員について営業の基本を教わった後に徐々に独り立ちしていく過程を経ますが、その際、成長に必要な「ストレッチした目標」を「より多く」与えられるのは男性社員の方なのです。
「つい」から始まる男女のキャリア差
みなさんは、遠方への出張や夜間の仕事など、「負荷の大きい」仕事があった時、男性と女性の部下がいたらどうしますか?
よくあるパターンをご紹介します。
男性上司が「つい」男性のAさんに負荷が大きい仕事を与える
(※女性のBさんには強い負荷をかけてはいけない、男性だったら多少厳しくしてもいい、という「アンコンシャスバイアス」があるため)
↓
男性のAさんの経験値が上がる
↓
次の負荷が大きい仕事を、「経験値が高い」Aさんに任せる
↓
更に男性のAさんの経験値が上がり、女性社員Bさんとの経験値の差が広がる
↓
次の負荷が大きい仕事を、「経験値が高い」Aさんに任せる
↓
更に男性のAさんの経験値が上がり、女性社員Bさんとの経験値の差が広がる
・
・
・
繰り返し
みなさんの職場ではいかがでしょう?
日本ではこれに似たことが多くの職場で起こっており、結果として「女性社員が育っていない」ことになるのです。
私自身も新卒で営業部門に男性同期とともに配属されましたが、
・商品説明を先輩の代わりに行う
・一人で客先に行く
・新規開拓をする
・出張を伴う営業
など、少しストレッチした目標は、同期の男性に比べると「手加減」されていたように感じます。
例えば、新規開拓を強化する方針で部が動いていた際、私には全く指示が出ませんでしたが、同期の男性社員には高めの目標が渡されており、結果彼が表彰される対象になったということがありました。
人材を育てる3つのK
「機会」「期待」「鍛え」
女性社員にはこの「3K」が不足していると考えます。
年を経て、女性社員が家庭を持つようになると更にその傾向が強くなりますが、不足の原因は育成者である上司の「アンコンシャスバイアス」と、女性社員自身の「アンコンシャスバイアス」です。
育成者(主に男性上司)のアンコンシャスバイアス
・「女の子にハードな仕事をさせるのは可哀想」
・「女性の能力に適した業務をあてがうべき」
・「女性は家事や育児という責任があり、仕事との両立は難しい」
・「管理職は家庭責任がある女性よりも、全エネルギーを仕事に向けられる男性が適している」
・「出張や残業を子供がいる女性には任せられない」
・「女性は管理職にはなりたがらない」
女性社員のアンコンシャスバイアス
・「私はリーダーには向いていない」
・「女性社員のロールモデルにはなれない」
・「今の環境では活躍できない」
・「自分には能力がない」
こうして育成者からの3K「機会」「期待」「鍛え」が不足していることで、女性社員のアンコンシャスバイアスはより強化されていき、職場全体の「風土」として固定してしまいます。
また、育成者(主に男性上司)から伺う「言い分」として以下のようなものがあります。
「女性社員に強く言えず、遠慮してしまう」
「女性社員が増えてきて、実際難しい、やりづらいと思うことがよくある」
これまで、仕事の全エネルギーを投入できる男性社員だけ集団にいた、特に年配の男性管理職からすると、これまでのマネジメントスタイル、コミュニケーションスタイルがそのまま使えないためにやりづらく感じるのは間違いありません。ただ、今後、女性社員だけに限らず外国人や障がい者などのマイノリティを受け入れる上でも、同質集団でいることの居心地の良さ、あうんの呼吸でできたこれまでのコミュニケーションは一旦手放す覚悟が必要です。
育成者自身も「変化」が必要なのです。
マイノリティだけでなく、「年齢差があるメンバー」「他部門のメンバー」など、価値観や常識が異なる人とのコミュニケーションを行うということは、ビジネスのどんな場面においても必要なことです。性別や年齢などの「属性」で人を判断してしまう意識をニュートラルにし、その上でそれらの人たちと建設的なコミュニケーションを行える、ユニバーサルなコミュニケーションスキルを身につけることは何れにしても必要なこと。「最近の新入社員と話が通じない」「他部門の人がわかってくれない」などの悩みや不満も、結局は辿れば同じなのです。
「意識」の壁を壊し、コミュニケーションスキルを身につけること、女性管理職を育成していく上でも、職場風土改善においても企業が本気で取り組んでいくべき内容ではないでしょうか。
アンコンシャスバイアスの悪影響に陥らないためには?
こんにちは
株式会社リソースフル 中田明子です。
「アンコンシャスバイアス」(無意識の偏見・思い込み)に関する弊害が叫ばれて久しくなりました。
主に、ダイバーシティ推進の文脈で注目され、多くの企業で研修が導入され始めています。
弊社でもここ1年で企業や自治体からご依頼を受け、述べ1000人以上の社員・職員の方達に「アンコンシャスバイアス」についてお伝えするとともに、具体的な対応についてのトレーニングも行っています。
この「アンコンシャスバイアス」というテーマ、私は大きく分けて3つの問題点があると考えています。
アンコンシャスバイアスが組織に与える3つの問題
①自己に向くことで自己理解が阻まれ、能力の発揮がなされないこと
②他者に向くことで相手理解が阻まれ、特定の属性のメンバーの能力発揮の場が失われること
③①・②の結果として、相互理解が阻まれること
つまり、個人がリソースフルとは反対の「アンリソースフル」な状態になることで、組織のパフォーマンス低下につながるのです。
アメリカのGoogle社は、成果が出るチームに必要な要素として「心理的安全性」を提唱しました。
また、ダニエルキム教授の「組織の成功循環モデル」でも、「メンバー同士の安心安全な関係性」を重要なエッセンスとしています。これらがあることで個人が「リソースフル」な状態になるのです。
アンコンシャスバイアスの悪影響を防ぐには?
では、アンコンシャスバイアスの悪影響に陥らないためには、どうしたらいいのでしょうか?
私は今までの経験上、以下の対策を同時並行で行うのが効果的だと考えています。
「知る」 アンコンシャスバイアスの概念を知ること
「気付く」 アンコンシャスバイアスという概念を知り、自分ごととして捉えられること
「行動する」
自分に対して:正しい自己理解と、自身の能力発揮を最大限行える働きかけがなされること
他者に対して:相手理解・相互不理解を解消するための考え方と、実践的なコミュニケーション方法を身につけること
「継続する」 常に、自己理解・相手理解の上に相互理解が成り立っているか、適切なコミュニケーションがとれているかフィードバック・トレーニングの機会を持つこと
アンコンシャスバイアスは「イビキ」の問題の構造と似ています。 自分が「イビキをかいている」と気づかなければ「イビキを治療する」ということはできませんよね。全ての課題は認識することで初めてその解決のスタート地点に立つのです。まずは、自分のアンコンシャスバイアスに気づくこと、そこから全てが始まるのです。
アンコンシャスバイアスの悪影響に陥っていた私の経験
こんにちは
株式会社リソースフル 中田明子です。
私が以前の職場でリーダーをしていた頃のことです。
経理・企画・現場・渉外など沢山の業務を抱えていましたが、当時の私は保育園の迎えがあるので定時退社必須でした。
仕事を家に持ち帰ることもあれど、事務所でしかできない業務も多く、出社している時間はとにか効率重視で動いていました。
そんな時、いつも私をイライラさせていたのは、先の見えないダラダラした部下の報告でした。