「管理職の女性を増やしたくても適切な人材が育っていない」のはなぜか
こんにちは
株式会社リソースフル 中田明子です。
「管理職の女性を増やしたくても適切な人材が育っていない」
このようなケースは、育成者(多くは男性管理職)のアンコンシャス・バイアスが大きく影響をしています。
例えば、新卒で男性のAさん、女性のBさんが営業部に配属されたとします。
2人とも、最初は先輩社員について営業の基本を教わった後に徐々に独り立ちしていく過程を経ます。
さまざまな仕事があてがわれるなか、「少し難しい顧客」や「負荷がかかる案件」など、成長に必要な経験をより多くできるのはどちらでしょうか。
男性社員の方が圧倒的に多い・・・?
だとしたら、そこにはアンコンシャス・バイアスからくる構造的な組織の問題が隠れています。
「つい」から始まる男女のキャリア差
マネージャー職にいるあなたが部下へ仕事を指示する場合を想像してみてください。
海外出張や夜間の仕事など「負荷の大きい」仕事は、男性部下と女性部下、どちらに担当させますか?
(情報)2人は同期です。
・男性部下・・20代独身
・女性部下・・20代既婚子あり
研修などでこの質問をすると、男性部下に担当させたくなる方が圧倒的に多くなります。
男性上司が「つい」男性部下に負荷が大きい仕事を与える
↓
男性部下の経験値が上がる
↓
次に発生した負荷が大きい仕事を、「経験値が高い」男性部下に任せる
↓
更に男性部下の経験値が上がり、女性部下との経験値の差が広がる
↓
次に発生した負荷が大きい仕事を、「経験値が高い」男性部下に任せる
↓
更に男性部下の経験値が上がり、女性部下との経験値の差が広がる
・
・
・
繰り返し
結果として女性部下に難易度の高い仕事を経験するチャンスが減ってしまいます。
これではいつまで経っても女性部下が「成長」することはないでしょう。
「つい」男性に任せた続けた結果、
「うちには管理職になるような女性社員が育っていない」
という結果になっているのです。
私が新卒で入社した会社でも同様のことがありました。
営業部門に男性同期とともに配属されたのですが
・商品説明を先輩の代わりに行う
・一人で客先に行く
・新規開拓をする
・出張を伴う営業
など、少しストレッチした目標は、同期の男性に比べると「手加減」されていたように感じます。
新規開拓を強化する方針で部が動いていた際、私には全く指示が出ませんでした。
一方、同期の男性社員には高めの目標が渡されており、結果彼は表彰されました。
「女性社員を大切に育てよう」
そんな気配りや優しさでもあったからこそ、「つい」女性社員の成長機会を減らしてしまう傾向は対策しなくてはなりません。
人材を育てる3つのK
「機会」「期待」「鍛え」
女性社員が成長するために、この「3K」が職場で不足していると言われています。
不足する大きな要因の一つが2者のアンコンシャス・バイアスです。
1.育成者(主に男性上司)のアンコンシャスバイアス
・「女の子にハードな仕事をさせるのは可哀想」
・「女性の能力に適した業務をあてがうべき」
・「女性は家事や育児という責任があり、仕事との両立は難しい」
・「管理職は家庭責任がある女性よりも、全エネルギーを仕事に向けられる男性が適している」
・「出張や残業を子供がいる女性には任せられない」
・「女性は管理職にはなりたがらない」
2.女性社員のアンコンシャスバイアス
・「私はリーダーには向いていない」
・「女性社員のロールモデルにはなれない」
・「今の環境では活躍できない」
・「自分には能力がない」
・「女性だからそこまで働かなくていい」
育成者のアンコンシャス・バイアスは、女性社員のアンコンシャスバイアスをより強化し
その逆もまた然り。ネガティブスパイラルを起こします。
そして職場全体の「風土」として固定されてしまうのです。
また、育成者(主に男性上司)の「言い分」として以下のようなものがあります。
「女性社員に強く言えず、遠慮してしまう」
「女性社員が増えてきて、実際難しい、やりづらいと思うことがよくある」
これまで男性社員ばかりで仕事をしていたのが、そうではなくなりました。
これまでのマネジメント、コミュニケーションが使えず、やりづらく感じるのは間違いありません。
ただ、女性に限らず、外国人や障がい者、中途入社、男性育休者・・・
今後ますます多様な人材を生かしていかなくてはいけない現状にある企業が多いなか、仲間内で仕事ができる居心地の良さ、あうんの呼吸でできたこれまでのコミュニケーションは手放す覚悟が必要です。
育成者自身も「変化」が必要なのです。
「年齢差があるメンバー」「他部門のメンバー」など、価値観や常識が異なる人とのコミュニケーションは、仕事をする上で必要なことです。誰とでも建設的なコミュニケーションを行えるスキルはこれからのマネージャー、リーダーにとって必須のものとなるでしょう。
そのためにもアンコンシャス・バイアス「無意識の偏見」の壁を壊し、コミュニケーションスキルを身につけることが、女性管理職を育成していく上でも、職場風土改善においても解決策となるのです。
「アンコンシャス・バイアスって何?」
という状態からでも問題ありません。
大切なのはまず、自身のアンコンシャス・バイアスに気づくことです。
今できる小さな一歩から、踏み出していただきたいと思います。
ご案内
株式会社リソースフルではアンコンシャス・バイアスに関するオリジナルプログラムをご提供しております。
課題や目標に応じてオーダーメイドでご提供するほか、動画教材の製作もしております。
アンコンシャス・バイアスについて組織全体で学びたい
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