お悩み「管理職の女性を増やしたくても適切な人材が育っていない」
こんにちは
株式会社リソースフル 中田明子です。
このお悩みは、育成者(多くは男性管理職)のアンコンシャスバイアスが大きく影響をしています。
例えば、新卒で男性のAさん、女性のBさんが営業部に配属されたとします。
どちらもまずは先輩社員について営業の基本を教わった後に徐々に独り立ちしていく過程を経ますが、その際、成長に必要な「ストレッチした目標」を「より多く」与えられるのは男性社員の方なのです。
「つい」から始まる男女のキャリア差
みなさんは、遠方への出張や夜間の仕事など、「負荷の大きい」仕事があった時、男性と女性の部下がいたらどうしますか?
よくあるパターンをご紹介します。
男性上司が「つい」男性のAさんに負荷が大きい仕事を与える
(※女性のBさんには強い負荷をかけてはいけない、男性だったら多少厳しくしてもいい、という「アンコンシャスバイアス」があるため)
↓
男性のAさんの経験値が上がる
↓
次の負荷が大きい仕事を、「経験値が高い」Aさんに任せる
↓
更に男性のAさんの経験値が上がり、女性社員Bさんとの経験値の差が広がる
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次の負荷が大きい仕事を、「経験値が高い」Aさんに任せる
↓
更に男性のAさんの経験値が上がり、女性社員Bさんとの経験値の差が広がる
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繰り返し
みなさんの職場ではいかがでしょう?
日本ではこれに似たことが多くの職場で起こっており、結果として「女性社員が育っていない」ことになるのです。
私自身も新卒で営業部門に男性同期とともに配属されましたが、
・商品説明を先輩の代わりに行う
・一人で客先に行く
・新規開拓をする
・出張を伴う営業
など、少しストレッチした目標は、同期の男性に比べると「手加減」されていたように感じます。
例えば、新規開拓を強化する方針で部が動いていた際、私には全く指示が出ませんでしたが、同期の男性社員には高めの目標が渡されており、結果彼が表彰される対象になったということがありました。
人材を育てる3つのK
「機会」「期待」「鍛え」
女性社員にはこの「3K」が不足していると考えます。
年を経て、女性社員が家庭を持つようになると更にその傾向が強くなりますが、不足の原因は育成者である上司の「アンコンシャスバイアス」と、女性社員自身の「アンコンシャスバイアス」です。
育成者(主に男性上司)のアンコンシャスバイアス
・「女の子にハードな仕事をさせるのは可哀想」
・「女性の能力に適した業務をあてがうべき」
・「女性は家事や育児という責任があり、仕事との両立は難しい」
・「管理職は家庭責任がある女性よりも、全エネルギーを仕事に向けられる男性が適している」
・「出張や残業を子供がいる女性には任せられない」
・「女性は管理職にはなりたがらない」
女性社員のアンコンシャスバイアス
・「私はリーダーには向いていない」
・「女性社員のロールモデルにはなれない」
・「今の環境では活躍できない」
・「自分には能力がない」
こうして育成者からの3K「機会」「期待」「鍛え」が不足していることで、女性社員のアンコンシャスバイアスはより強化されていき、職場全体の「風土」として固定してしまいます。
また、育成者(主に男性上司)から伺う「言い分」として以下のようなものがあります。
「女性社員に強く言えず、遠慮してしまう」
「女性社員が増えてきて、実際難しい、やりづらいと思うことがよくある」
これまで、仕事の全エネルギーを投入できる男性社員だけ集団にいた、特に年配の男性管理職からすると、これまでのマネジメントスタイル、コミュニケーションスタイルがそのまま使えないためにやりづらく感じるのは間違いありません。ただ、今後、女性社員だけに限らず外国人や障がい者などのマイノリティを受け入れる上でも、同質集団でいることの居心地の良さ、あうんの呼吸でできたこれまでのコミュニケーションは一旦手放す覚悟が必要です。
育成者自身も「変化」が必要なのです。
マイノリティだけでなく、「年齢差があるメンバー」「他部門のメンバー」など、価値観や常識が異なる人とのコミュニケーションを行うということは、ビジネスのどんな場面においても必要なことです。性別や年齢などの「属性」で人を判断してしまう意識をニュートラルにし、その上でそれらの人たちと建設的なコミュニケーションを行える、ユニバーサルなコミュニケーションスキルを身につけることは何れにしても必要なこと。「最近の新入社員と話が通じない」「他部門の人がわかってくれない」などの悩みや不満も、結局は辿れば同じなのです。
「意識」の壁を壊し、コミュニケーションスキルを身につけること、女性管理職を育成していく上でも、職場風土改善においても企業が本気で取り組んでいくべき内容ではないでしょうか。